辰野 清氏

プロやアマチュア問わず、風景写真の頂を志す者にとって、あらゆる環境の中で求められるカメラは画質と機動力、そして耐久性がいかに優れているかである。使い手を選ばず、道具として表現を完結するあらゆる要望に応えられるカメラが理想なのだ。
PENTAX K-1のベータ機が私のもとに届いたのは、冬の厳しさがやや遅れてやって来た新年早々である。ご存知のように私のメインボディは中判デジタル一眼レフカメラのPENTAX 645Zであり、絶対的な信頼関係にある。ただその信頼関係をもってしても PENTAX K-1の使用感は魅力的だった。風景を被写体として考えるときのアドバンテージは高画素センサーの解像力が外せない。それは木々などの繊細な質感描写に直結するからだ。他社を合わせ見ると最近は慣れ親しんだ感のある有効約3640万画素だが、PENTAX K-1が作り出す画像からは同じ高画素センサーとは思えないハイエンドな解像感を感じた。特に繊細な霧氷や透明感のある渓流の氷などを撮ると、明らかに小さなセンサーでは表現しづらい自然感が浮かび上がってくるのだ。これはPENTAX 645Zの大型センサーにかなり近づいた描写感覚でもある。これが現在のペンタックスの技術の粋を結集したボディと最新レンズの実力なのだろう。また画質優先の用途を高いレベルで押さえている一方、最新の機能も充実している。多彩なスペックは風景ばかりではなく、いろいろなジャンルに順応できるカメラに仕上がっているとも思えた。
操作性においても新設計ならではの配置の見直しが見てとれる。35ミリフルサイズデジタルカメラとしてはボディサイズを極限まで小さく絞ってはいるものの、限られたスペースでのボタンの配置と感触はグローブ装着時でも難なく操作できるものだった。耐寒レベルも実際、今季最大の寒波時でのマイナス20℃超えを難なくクリアしてくれた。一段と強化された耐久性も心強い。他にもさまざまなパフォーマンスを兼ね備えたPENTAX K-1からは、貴重な出会いが表現として完結する喜びを感じてもらえることだろう。

PROFILE
辰野 清(たつの きよし)
1959年生まれ、長野県出身。インテリアクリエイターを経て第11回(2003年)前田真三賞受賞をきっかけに写真家としてフリーに。
豊かな構成力と詩情溢れる作風が特徴で、日本の風景表現の物語性を追求している。また写真講師としても多くの写真家を育成している。
写真集「凛の瞬」、著書「超実践的フィルターブック」「長時間露出の写真術」など他多数。
講演会、文筆、フォトコンテスト審査員、写真ゼミ講師など多方面で活躍中。
(公社)日本写真協会会員、日本風景写真協会指導会員、自然奏フォトアカデミー主宰。